前回は不動産の売買に関する手数料の話と仲介業者の営業マンに関する話題でしたが
今回は「土地」に関する売買でよくあるお話を致します。
トップ写真は「高崎」の駅から徒歩10分程度歩いた飲み屋街に鎮座する
オリオン座です。これは一つの事例ですが…
大正時代から2000年初頭 約90年の間も、高崎のエンターテイメントを密かに支えていた
由緒ある映画館です。このエリアには他にも3館ありますが、全て閉鎖されております。
下の写真を見てわかる通り、この「映画館」という1つの建物=不動産物件を
賃貸募集していますが…13年程度 借り手がついていない状況です…
何席程度あるか不明ですが、借り手もいない、土地としても売れない…八方ふさがりの「不動産」ということです。
しかしなぜ、高崎と言えども、駅から歩ける商店街中にある不動産で借り手がつかないか?
全ては投資です。
1・リフォーム費用 坪30万円→500坪=1億5000万円は建物だけでかかります。
2・耐震工事 坪20万円 1億円
3・事業をするための新しい設備 ???
4・新規オープンするための従業員確保 1000万円
5・広告費 1000万円
少なく見積もっても、このクラスの商業施設を復活させるためには3億~5億円必要です。
ピッカピカでやるならば。
仮に3億円投資をした場合に、6年間で投資資金を回収する場合
1年間の純利益=5000万円です。純利益率が10%の場合であっても
売上高=5億円 純利益5000万円になります。
月商売上=4200万円以上必達となるわけですが・・・この地域で日商140万円稼げるビジネスがあるわけありません。
したがって、誰も投資をしないわけです。
したがって、誰も借りないわけです。
次に土地を売る場合・・・
パッと見、建物は500坪程度あるのですが、解体費用はいくらかかるか???
アスベスト・地下もあるので(映画館なので)解体費用は・・・
@20万円程度かかる可能性もあります。
すなわち=解体費用1億円です・・・
なお、土地の概算ですが、調べていませんが、私の勘では・・・
土地200坪程度=@30万円=6000万円なのです。
また、この土地の規模が中途半端で大きければ、イオンやその他モールが検討する可能性もありますが
この規模だとスケールメリットが無く、中途半端すぎて、誰も手を出さない。
というか、売却するために、解体1億円をかけるわけですが、売値6000万円なら
売っても4000万円大損する。。。そんな土地なのです。
笑えません。
しかし、これと同じようなことが1都3県でも十分にあります。
土地100坪 造成費用1000万円 解体費用500万円かかる土地があった場合
近隣相場 30坪@80万円程度の郊外立地。
理解のない地主様=8000万円なら売ってもいいよ!まぁ売り出しは1億円だな!
はいはい、売れるわけありません。
言うまでもなく、近隣相場30坪 2400万円程度の郊外立地、サラリーマンのベッドタウンで誰が
1億円出して買うのでしょうか?しかも、解体・造成費用で1500万円(この場合の設定)
このまま買う、一般の方は・・・ほぼいないでしょう。
そうするとどうするか?100坪を3宅地に分譲するしかないので、不動産業者に購入させればよいのです。
8000万円売上高-経費12%960万円-解体・造成費用1500万円-利益1000万円=4540万円となります。
こんなもんです。
経費や造成を理解できない地主様は残念ながら高崎のオリオン座になります。
今が一番高い時、賢い売却をおすすめ致します。
まぁ、こんな記事を書いて、良い気をする方はいないと思いますが
これが現実です。
メリークリスマス!!
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